帯に短し襷に長し?――尾形大『「文壇」は作られた』書評
※このエントリは、某媒体に依頼された尾形大『「文壇」は作られた――川端康成と伊藤整からたどる日本近代文学史』(文学通信)の書評だが、内容が否定的なので没になってしまった。編集方針は自由なので依頼主に恨みがましい気持ちはないが、お蔵入りにするのももったいないのでここに公開する。前提として、この本の著者や編集者に対する敵意は一切ない。また、ここで指摘した弊を私自身の著作が免れているかどうか定かでないこと...
View Article『文學界』編集部に贈る言葉
担当していた「新人小説月評」の末尾が削除されるという事件を経て、2月8日、『文學界』編集長から「最低限必要な寄稿者と編集部との信頼関係が失われた」という理由で月評からの降板が命じられた。とりあえず、担当編集者と決して多くないだろう拙評読者に感謝したい。...
View Article献本の倫理
元『ユリイカ』編集長の郡淳一郎氏が、4月22日、自身のTwitterにて「「御恵贈(投)頂き(賜り)ました」ツイートの胸糞わるさ」から始まる「はしたない」御礼ツイートを批判したことで、献本という出版界の慣習に多くの関心が集まった。...
View Articleテクノロジーの中年
ケヴィン・ケリーの新刊『〈インターネット〉の次に来るもの――未来を決める12の法則』(NHK出版、2016)の原題はThe Inevitable、即ち『不可避なもの』である。なにが不可避なのか? テクノロジーの進歩に伴って条件的に課される、日々新しくなっていく情報/メディア環境での私たちの生活である。しかも、その更新は止むところを知らない。 無限のアップデート、避けられないのは常に新しい未来である。...
View Articleウェブ小説家はなにを望むのか?
最近、飯田一史『ウェブ小説の衝撃――ネット発ヒットコンテンツのしくみ』(筑摩書房、2016)を読んだ。知らぬあいだに日本文芸の主力マーケットになっていたウェブ小説の出版経緯や内容分析を試みた関係者必読の一書だ。ウェブ小説とは、ネット上の小説投稿プラットフォーム「小説家になろう」や「E★エブリスタ」などで掲載されたネット発の小説が紙の本になって出版されたものを指す。...
View Article新人(賞)の方法
このたび、拙作「反偶然の共生空間――愛と正義のジョン・ロールズ」が第59回群像新人評論賞優秀作に選ばれた。関係者のみなさんに感謝しつつ、こういう経験は(少なくとも私の人生のなかでは)あまりないものだから、記念のため、ワザというかテクというか、賞をとるための方法について、自分の書き方を中心に考えてみた。 100%の我流なので、あまり参考にならないかもしれないが、まぁ、軽い読み物として読んで欲しい。...
View Article大学は《自由》だから息苦しい
なんとも溜息の出る本を読んでしまった。 近代日本文学を専門とする名古屋大学准教授の日比嘉高『いま、大学で何が起こっているのか』(ひつじ書房、2015・5)は、文部科学省を中心に大学改革の名で現在唱えられている、文学部の縮小・廃止政策や人文社会系不要論に対して、社会全体の自由と多様性の観点から危機感を表明する警世の書である。もとは日比のブログで発表されたものだ。...
View Article『批評メディア論』から考える三つの〈com〉
3月27日、東京堂書店にて、大澤聡と山本貴光の対談イベント「言葉が紡いだニッポンの批評空間――装置としての神保町を再考する」が催された。...
View Articleハイブリッド・リーディングは読書の未来?
2014年5月24・25日に日本記号学会の第34回大会が東京大学駒場キャンパスにて行なわれた。特集は「ハイブリッド・リーディング――紙と電子の融合がもたらす〈新しい文字学〉の地平」。日本のブックデザインを牽引してきた杉浦康平、デリダ『グラマトロジーについて』の韓国語訳者で有名なキム・ソンド、フランスの哲学者であるベルナール・スティグレールなど、豪華なゲストを迎えて、デジタル時代の読み/書きの変容をふ...
View Article自費出版本をAmazonで69冊売ってみた
2013年2月20日に自費出版した文学研究書『小林多喜二と埴谷雄高』(ブイツーソリューション、文庫、税込840円)をAmazonで発売してから、一年経った。「マガジン航」でもその出版事情について書かせてもらったが(この記事を参照)、このたび、契約した半年区切りの二度目の決算通知が来たので、ここに報告したい。通知によると、発売から翌年1月末日の期間で計69部の売上、印税額は合計2万8980円になった。...
View Articleカネよりも自分が大事なんて言わせない
山本芳明の『カネと文学――日本近代文学の経済史』(新潮選書)は、経済=市場の観点、具体的に言えば原稿料の増減や出版景気の変化などを例にして、日本近代文学者とカネの関係を歴史的に辿ることで、教科書的な文学史からは見えなかった、生々しい文学者像を新たに浮かび上がらせている。...
View Article我はなぜ論文YouTuberとなりしか
YouTubeで勝手に連載している「新書よりも論文を読め」が20回の更新を超えた(初回を下に動画埋め込み)。このシリーズは、論文(大学紀要や専門誌を中心に、ときに批評や評論とも呼ばれもする論理的なタイプの文章)を毎回一本取り上げて、三つのポイントに分けて5分から8分くらいで要約するという、論文紹介動画である。取り上げる論文の分野は、私が近代文学専攻ということで日本の人文系に偏っているきらいはあるが、...
View Articleテクノロジーの中年
ケヴィン・ケリーの新刊『〈インターネット〉の次に来るもの――未来を決める12の法則』(NHK出版、2016)の原題はThe Inevitable、即ち『不可避なもの』である。なにが不可避なのか? テクノロジーの進歩に伴って条件的に課される、日々新しくなっていく情報/メディア環境での私たちの生活である。しかも、その更新は止むところを知らない。 無限のアップデート、避けられないのは常に新しい未来である。...
View Articleウェブ小説家はなにを望むのか?
最近、飯田一史『ウェブ小説の衝撃――ネット発ヒットコンテンツのしくみ』(筑摩書房、2016)を読んだ。知らぬあいだに日本文芸の主力マーケットになっていたウェブ小説の出版経緯や内容分析を試みた関係者必読の一書だ。ウェブ小説とは、ネット上の小説投稿プラットフォーム「小説家になろう」や「E★エブリスタ」などで掲載されたネット発の小説が紙の本になって出版されたものを指す。...
View Article新人(賞)の方法
このたび、拙作「反偶然の共生空間――愛と正義のジョン・ロールズ」が第59回群像新人評論賞優秀作に選ばれた。関係者のみなさんに感謝しつつ、こういう経験は(少なくとも私の人生のなかでは)あまりないものだから、記念のため、ワザというかテクというか、賞をとるための方法について、自分の書き方を中心に考えてみた。 100%の我流なので、あまり参考にならないかもしれないが、まぁ、軽い読み物として読んで欲しい。...
View Article大学は《自由》だから息苦しい
なんとも溜息の出る本を読んでしまった。 近代日本文学を専門とする名古屋大学准教授の日比嘉高『いま、大学で何が起こっているのか』(ひつじ書房、2015・5)は、文部科学省を中心に大学改革の名で現在唱えられている、文学部の縮小・廃止政策や人文社会系不要論に対して、社会全体の自由と多様性の観点から危機感を表明する警世の書である。もとは日比のブログで発表されたものだ。...
View Article『批評メディア論』から考える三つの〈com〉
3月27日、東京堂書店にて、大澤聡と山本貴光の対談イベント「言葉が紡いだニッポンの批評空間――装置としての神保町を再考する」が催された。...
View Article